概要
ネットワークの物理的構成を反映しているLayer2(データリンク層)レベルにおいて、あるLANスイッチの何番ポートが、どのLANスイッチに接続されているかを知ることは、ネットワーク管理をする上で非常に重要です。また、トラフィックの観測を行う際には、どのポートがどこに繋がっているのかという情報を知っておくことが、有効になってきます。
図1;LAN-Switchの接続例
しかし、実際には図のようにイーサネットケーブルは絡み合い、ポート間の接続関係を容易には把握できません。そこで本研究では、LANスイッチから収集できるFDB(Forwarding Database)の情報をもとに、Layer2ネットワークにおける構成情報の推測を行うアルゴリズムを提案し、それを利用するシステムを作成しています。
【システム構成】
本システムは、FDBの情報を収集する"構成情報収集部"、FDBの情報を元にLANスイッチ間の接続関係を推測する"構成情報推測部"、推測結果をユーザに提示する"構成情報表示部"からなります。
【平成23年度担当者】 : 伊藤 真、大河 一真、矢島 和男
【平成22年度担当者】 : 伊藤 真、児玉 哲志
構成情報収集部
構成情報の収集は、SNMPを用いてLANスイッチのBridgeMIB、拡張BridgeMIBからFDBの情報を収集します。また、FDB以外にもネットワーク機器自身のMACアドレスも収集します。
図2:BridgeMIBから得られたFDBの情報
上の表(図)の見方としては、「=」の左6つ分がMACアドレスを表し(例えば「0.0.57.13.37.209」)、「=」の右側がポート番号を表します。これらの情報を取得するのが収集部の役目です。
構成情報推測部
収集部から取得してきた情報を基にしてLANスイッチ間の接続又は直接接続の 推測を行うのが推測部です。様々な条件を使ってLANスイッチ間の接続の推測を行います。過去の研究により、サーバなどのFDBを持たない機器との接続の推測に成功しました。これにより、より正確なネットワーク構成が把握可能になりました。
【平成23年度担当者】 : 伊藤 真
【平成22年度担当者】 : 児玉 哲志
構成情報表示部
推測結果を用いて、LANスイッチ間の接続を視覚化します。表示部は Java Applet で作成されており、インターネットを利用しどこからでも管理対象ネットワークの構成を確認することができます。
図2:自動配置アルゴリズムの例(左図:表示例、右図:接続状態の一部抜粋)
【平成23年度担当者】 : 大河 一真、矢島 和男
【平成22年度担当者】 : 伊藤 真
論文など
- VLANを考慮したLayer2ネットワーク構成情報推測アルゴリズムについて
大浦 昇, 河野 優, 釜崎 正吾, 吉田 和幸
マルチメディア分散,協調とモバイル(DICOMO2006)シンポジウム論文集
情報処理学会シンポジウムシリーズ Vol.2006, No.6, pp.629-632(2006). - ループを考慮したLayer2ネットワーク構成情報の推測アルゴリズムについて
河野 優, 大浦 昇, 釜崎 正吾, 吉田 和幸
分散システム/インターネット運用技術シンポジウム2006年度論文集
情報処理学会シンポジウムシリーズ Vol.2006, No.13, pp.7-12(2006). - Layer2ネットワーク構成情報推測システムの改良について
藤田 俊輔,大浦 昇,飯田 隆義,兒玉 清幸,吉田 和幸
情報処理学会火の国情報シンポジウム2008 論文集,
C-2-5,pp.1-7(published by CD-ROM),2008. - Layer2ネットワーク構成情報推測・表示システムのための構成情報の収集
-構成情報のベンダ依存性について-
藤田 俊輔,吉田 和幸
情報処理学会第1回IOT研究会2008論文集,pp.41-46,2008 - Layer2ネットワーク構成情報推測・表示システムにおける
VLAN情報の収集と表示の提案
藤田 俊輔,飯田 隆義,兒玉 清幸,吉田 和幸
マルチメディア分散,協調とモバイル(DICOMO2008)シンポジウム論文集
情報処理学会シンポジウムシリーズ Vol.2008,pp.1190-1197(2008) - Layer2ネットワーク構成情報表示システムにおける
STP及び隣接機器探索プロトコルの活用について
藤田 俊輔,吉田 和幸
情報処理学会第1回IOTシンポジウム2008論文集,pp.113-pp.120,2008