概要
近年、インターネットの普及とともに、電子メールを初めとするネットワークを介した
コミュニケーションは不可欠な物になっています。しかし、受信者の意図を無視して
無差別かつ大量に一括して送信されるspamメールに関する問題が大きな社会問題
となってきています。
この spam メールに対抗するため様々な対策が採られていますが、対策による
メール受信の遅延が問題となってきています。
Spamグループでは、メール受信の遅延を低減するwhitelist自動作成システムを
開発・運用しています。
【平成23年度担当者】 : 松竹 俊和、金高 一
【平成22年度担当者】 : 松竹 俊和、小手川 大介
whitelist自動作成システム
通常spamメール対策による遅延を低減するためには、spamメール対策を行わない、
信頼できるメールの送信者を登録したwhitelistが利用されます。メールを受信すると、
このwhitelistを参照し、登録されている送信者からのメールにはspam対策を行いません。
その結果、すぐにメールを受信できるようになります。
しかし、このwhitelistは管理者が手動で作成するため登録数が少なく、効果が限定
されるという問題点があります。
図1:whitelistの問題点
この問題を解決するためにspamグループではwhitelist自動作成システムを開発し、
whitelist登録数を増やす研究を行っています。登録数を増やすことで、すぐに受け取る
ことのできるメール数が増え、その結果、遅延が低減されます。
図2:whitelist自動作成システム
システムの運用により、whitelist登録数が1500件から5400件に増え、spam対策を受ける
通常メールの割合が全体の47%から25%まで低減しました。
今後はシステムの運用を続けるとともに、「whitelist自動作成の過程でspam送信者を誤って
whitelistに登録しないか」について調査・研究する予定です。
【平成23年度担当者】 : 松竹 俊和、金高 一
【平成22年度担当者】 : 松竹 俊和、小手川 大介
論文など
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メールゲートウェイの負荷分散による spma 対策について
三原 槇仁, 吉田 和幸
分散システム/インターネット運用技術シンポジウム2006年度論文集
情報処理学会シンポジウムシリーズ Vol.2006, No.13, pp.43-47(2006).
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iptablesを利用したspam対策用whitelistを一元管理するためのメールシステム
松竹 俊和, 吉田 和幸
情報処理学会 第3回IOT研究会2010論文集,pp.75-79,2010